総合診療医

【福司山先生の連載ブログ】睡眠時無呼吸症候群について

総合診療医の福司山先生による連載ブログコーナー

【第6回目】睡眠時無呼吸症候群(SAS)について

睡眠時無呼吸症候群(SAS: Sleep Apnea Syndrome)は、眠っている間に呼吸が何度も止まったり浅くなったりする病気です。呼吸が止まると、体に酸素が十分に行き渡らなくなり、心臓や脳に負担がかかります。

その結果、高血圧、心臓病、脳卒中、糖尿病などのリスクが高まります。また、昼間に強い眠気を感じるようになり、仕事や日常生活に支障が出たり、交通事故や災害事故などにつながる恐れもあります。

 

【種類と重症度】

主に2つのタイプがあります。

特に多いのが、「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA: Obstructive Sleep Apnea)」で、これは喉や気道が寝ている間に狭くなり、空気の通り道がふさがってしまうことで起こります。

もう一つタイプは「中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA: Central Sleep Apnea)」で、脳が呼吸を制御する筋肉に適切な信号を送らないことで呼吸が止まる状態を指します。

SASの重症度は、無呼吸低呼吸指数(AHI:Apnea Hypopnea Index)で判断されます。

これは1時間あたりに何回呼吸が止まるかを示す指標で、5回以上かつ日中の眠気などの症状があればSASと診断されます。

AHIが5回以上認められ、日中の眠気などの自覚症状がある場合、SASと診断されます。

AHIが5~15回が軽症、15~30回が中等症、30回以上が重症とされます。

 

どんな人がなりやすい?

太り気味の人や、首周りに脂肪がついている人、あごが小さい人、扁桃腺が大きい人などがなりやすいです。男性や中高年の方に多い傾向があります。

 

どんな症状があるの?

一番の特徴は「いびき」です。

ただのいびきとは違い、「大きないびきをかいた後、突然止まり、しばらくしてまた大きないびきが始まる」というパターンが見られます。その他にも

• 夜中に何度も目が覚める

• 朝起きたときに頭が痛い

• 日中に強い眠気がある

• 集中力が続かない

• 性格がイライラしやすくなる

などの症状があります。

●どうやって診断するの?

上記のような症状がある場合は、医療機関を受診し、検査を相談してください。

検査は、自宅でできる簡易検査や、病院で一晩泊まって行う精密な検査(ポリソムノグラフィー)があります。

検査は装置を付けるため多少違和感はありますが、痛みはありません。

 

●治療方法は?

もっとも一般的な治療は「CPAP(シーパップ)療法」です。

これは、寝ている間に鼻に装着したマスクから空気を送り込んで気道を広げる方法です。

軽症の場合は、減量、寝る姿勢の工夫、マウスピースの装着なども有効です。

扁桃腺の肥大が原因であれば手術が行われることもあります。

【まとめ】

睡眠時無呼吸症候群は「ただのいびき」と見過ごされがちですが、命に関わる病気のリスクを高める怖い病気です。

ご自分の睡眠に不安を感じる方は、早めに医療機関に相談しましょう。

適切な治療を受ければ、日中の眠気も改善され、生活の質が大きく向上します。

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